日曜日, 12月 02, 2007

バイオリン(フィドル蘊蓄)




昨日のK&Nライブでは、
フィドルを使用したアレンジや
シンプルなインストルメンタルなど、
日ごろあまりなじまない、というか
いわゆるバイオリンとしての演奏を
させていただいたというのが近いのかもしれません。
少し緊張した高尚な気分で、演奏したつもり(?)です。
コレはおそらく自己満足に過ぎませんが・・・(汗)

たまにはまじめにフィドルについて考察(?!)
して見ます。

本来フィドルという俗称(Fiddle)
はアメリカでは、カントリーやブルーグラスで、
使われますが、歴史的には、
イングランドの民族楽器がその原点のようです。

移民、開拓時代、
大陸に持ち込まれた民衆のための
手軽な楽器といえば、
必然的にハーモニカ、バイオリンなど、
小型軽量の楽器ということになるのでしょう。

「ヴァイオリン」は貴族、「フィドル」は民衆の楽器。
このように書くと
「上流階級から一般民衆へ広がったヴァイオリンが、
地方で民謡などを演奏するようになって
フィドルって別名がついたんだな」
という誤解を招きがちですが事実はちょっと違うようです。

バイオリンの原点はというと、「ヴィオリーノ」
16世紀の出現当時からほぼ完成されたスタイルで
抜群の機能性を買われて次第に上流社会へと進出します。
つまりクラシック音楽への道です。

最初期の製作者としては...
「アンドレア・アマティ(ニコロ・アマティの祖父)」
「ガスパロ・ディ・ベルトロッティ」
「ガスパール・ティーフェンブルッカー」が有名です。

皆さんのよくご存じの「ニコロ・アマティ」や「ヤコプ・シュタイナー」
「アントニオ・ストラディヴァリ(ニコロ・アマティの直弟子)」
「アンドレア・ガルネリ(ニコロ・アマティの直弟子)」
などはこれから100年以上も後の時代の17~18世紀の話しです。

ヴァイオリンの製作に於いて特に卓越していたのが
「ストラディヴァリ」で、
ヴァイオリンの形態は彼の研究によってほぼ完成したと言われています。

民衆の楽器としての「フィドル」の原点は、
イングランドのフィドルであったり、
ドイツのガイゲやフィーデル、
フランスのヴィエルだったりします。
いずれも平べったい箱のようなボディの外見ですが、
弦を擦って音を出す点で奏法自体は
今のヴァイオリンと非常に似ていました。
そのため後に機能性に優れたヴァイオリンが
徐々に地方にも浸透して地元の楽器に取って代わったときに
同じ擦弦楽器なので、もともとその土地で使われていた奏法が
あっさり適応可能であったと思われます。
もし、ヴァイオリンが地方に浸透した際に
新しい奏法が導入されていたら、
名実ともに新しい文化として
「ヴァイオリン」という名前が定着していたかも知れません。

しかし実際は奏法や使い方は旧来の楽器と変わらず
単に以前より性能の良い楽器として使われたため
「フィドル」、「ガイゲ」など古来の楽器名が引き継がれたのでしょう。
その後イングランドの「フィドル」が
民族系音楽の「ヴァイオリン」の総称になったわけです。

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